瀬宮の球拾いブログ

エンジニアだったはずが、みんなにヘイストかける方がチームに貢献できた男のブログ

バックログはタスクリストとは違う

私がバックログを運用するにあたりバックログ自体の目的を「ある単位期間までに見えているタスクとタスクのつまり具合と進行方向を示すこと。またメンバーやチームが自分で計画を行えるようにする土台になること」としています。 前者は情報を示すものです。 またバックログというものはアーティファクトなので、それとは別にバックログを見ながらのMTGには別の目的があります。つまり後者の目的、Planningのための共通インフラです。

異なる情報をもとにすれば異なる決断が下されます。 各人が異なる決断をすればチームはバラバラになります。それを防ぐために同じインフラをベースに方向性の揃った決断を促すためにバックログがあります。 バックロググルーミングとは同じ情報インフラをもとに、チームが情報と方向性と志向を同期させるPlanningの場です。

しかしアジャイル未経験者(あるいは経験の浅い人間にとって)タスクリストというのは「タスクの抜け漏れを防止する」ためのものとして捉える傾向があります。 イテレーションバックログとプロダクトバックログの区別もつけません。 この場合の抜け漏れ防止型タスクリストの特徴としてフィーチャーベースで書かれます。 「商品のキーワード検索機能をつける」「商品のジャンル検索機能をつける」こんな感じです。 極めて当然のことです。漏れ型タスクリストとは「あとで作業の抜けがないようにする」ことが目的なので、ユーザー視線をタスクリストに盛り込まれることはありません。

これがタイトなスケジュールと組み合わされた場合、悲劇的な結末が訪れる場合があります。 最初の方は「ユーザー目線」で動いていたはずがタスクリストの項目を期限内に消化することに夢中になるあまり、「期限内に項目を全て消化すること」が「最優先事項」になり、「ユーザー目線」はどこかに消えてしまいます。

人間は目に入る情報から判断を下します。また、記憶というのは急速に劣化していきます。 ユーザー目線のない抜け漏れ防止型タスクリストを見続けていると、ユーザー目線はいつか頭の中から消えてしまいます。

「完成したが、ユーザーがつかなかった。」 この状態になれば最悪です。 抜け漏れ防止型タスクリストの欠点は、ユーザーがつくことよりもプロダクトを完成させることを優先するようチームに強く促す点にあります。 SCP財団の収蔵物のように、抜け漏れ防止型タスクリストは存在するだけでチームからユーザー目線を奪い、完成したプロダクトをユーザー目線の抜け落ちたものになるよう促し続けます。