瀬宮の球拾いブログ

エンジニアだったはずが、みんなにヘイストかける方がチームに貢献できた男のブログ

また退職しました(3年ぶりくらい)

代々木にあるピクシブ株式会社を退職していました。
なぜか12月にかけて会社の会議室をイベントの会場として使用したいという旨の相談が急増していたので私はもう代々木の会社にはいないよ、ということをここに明言しておきます。
社員の方、連絡がある場合は2つだか3つだかあるという元社員グループのどれかからご連絡ください。

在職中はBOOTHというクリエイター向けECサービスや、自社配信の広告管理システムなどを作っておりました。
またpixivのUIリニューアルにも関わっていました。

今はB2B系のサービスに関わっています。
トレンドの移り変わりで、億単位の月間PVや100万単位のユーザーを確保できないと収益的に辛い2Cサービスよりも、2Bサービスの方が今後は伸びると思っています。
もうアガってしまったサービスを作るより、これから伸びるサービスを作る方が楽しかろうということで成長期の会社に入りました。
実際楽しいです。

転職のきっかけとなったのは、ECサービスのBOOTHを作った時に、「ユーザーの気にいるサービス」を作るために、ユーザー側のマインドを理解しようと思ったことです。
自分でサービスを作り、ゼロからプロダクトを作りました。
今でも年収分に相当するくらいの売上間で成長させたのですが、プロダクトを作る過程でプロダクトマネジメントやグロースハックを学べたのは大変大きな収穫でした。 InspiredHookedが当時のバイブルでした。
作る過程で当時はサーバサイドエンジニアだった私は、フロントやAWSの知識、あるいは各フレームワークの選定から習熟にかけてのスキルがつき、ユーザーサポートや品質保証、SEOマーケティング、広告の運用やOKRとKPIの設定など多種多様のスキルがつきました。
今振り返ればここで大きく人生が変わったのだと思います。
しかし会社にいても、私のスキルはサーバサイドエンジニアのスキルの分しか会社に買い取ってもらえずおちんぎんも少ないままでした。だってフロントやSEOやサポートはそれぞれ専門の職種の人がいましたし、分業した方がスピードも速く品質も高いですからね。
私は新規でサービスを立ち上げるなら、分業しない方が最終的に低コストと高スピードが成り立つと思っていました。つまり一人で高速にプロダクトを立ち上げ成長させられる自分のスキルが活かせる環境を求めて転職を考えたわけです。
私自身のスキルの成長が、会社とのアンマッチを生み出したというわけです。

最終的に拾われたのは立ち上げフェーズではなく、成長期でサービスの幅を広げるにわたり各職種の橋渡し役になれるエンジニアを求めていた会社でした。それはそれで自分に合っていると思います。 また幅広いスキルを評価してくれて割とおちんぎんは多めに出してくれました。

転職したいなーと思ったきっかけは もともとピクシブはエンジニアも「サービスをよりよくするための意見を出すことができる」というのが私が入社した頃のアピールポイントだったのですが、ある時期から何を言っても「そんなことをしている余裕はない」と却下されることが相次ぎ始めた時期でした。

そうなったきっかけは
・ 「何が正解かわからない」「だからとにかく、思いつく限りよいサービスを作ってみよう」
・ 「小さく作るとインパクトが不足するから、新規サービスは十分な規模のサービスで作ろう」
という方針のもと「とにかく大技を撃ちまくれば一発は当たるだろう」という方針になってからです。

大きなプロダクトを高速で生産するために「生産性」が重視されました。そのために
・ディレクター、デザイナー、エンジニアでそれぞれ分業制が組まれ
・考える人と手を動かす人を徹底的に分業し
・エンジニアは会議の時間を減らし、席に座る時間を1分でも長くする(会議をすると時間xヘッドカウント分の工数が無駄になるという思想)
政策が実行に移されました。

その結果
・「そもそもなぜこの機能を実装しないといけないの?」という疑問が解消されないままとにかく深夜まで実装作業を続けたり
・意思決定があるのはわかったが、どういう意図でこのような意思決定があったかわからない変更があったり
・ エンジニアが機能について口出しすることが嫌われたり
・「デザイナーが作ったSketchのデザインをもとに、この画面からディレクターやデザイナーは何をしたかったんだろう?」を忖度しながらSketchからコードにリバースエンジニアリングを続ける
そんな作業が増えました。

それでいて次々繰り出されるプロダクトはmarkezinなどには記事になるのですが収益につながりませんでした。
(記事自体もお金を払って書いてもらう広告記事だった疑いもあり) エンジニアも「結果にコミット」ということで、関わるプロダクトのビジネス的な数字の部分まで目標設定に組み込まれていたため、数字があがらないと給与も上がりませんでした。

・毎晩遅くまで働かされる割に、利益が出ない。ユーザーも増えない。当然給与も増えない。
・機能リリース前の最終段階で、社員の中にいるクリエイター業をしている(見込みユーザーど真ん中の)人に触らせると苦笑いをして「まあいいんじゃないですか?」と言われる。
・これは明らかに変えたほうがいいですよ、といっても「リリース日が近い。今更変更している時間はない」と却下される。
そんな日々に疲れ果てて友人に相談したところ「まるでインパール作戦みたいだね」と言われました。

ああ、牟田口司令官の下で山ほど日本人が死んだインパール作戦。たしかに近いかもね。
そう思ったら自然と転職を考えるようになりました。

マネージャーから、「ピ●シブUIリニューアルチームはB級の戦力を中心に集めただけあって、出来が悪い」と面と向かって言われた点が最終的なトリガーとなりました。
一生懸命スケジュールや仕様のほころびを取り繕うために走り回った人間を目の前にそれを言うか、という。
ほぼ唯一の収益源のサービスの大改修をB級の戦力に任せるという経営判断も正直謎ですね。
ああ、現行UIのユースケースをほぼカバーせずに破壊しているため、ヘビーユーザーほど嫌って離脱するから方針を転換して欲しい、という話を定量的なデータをもとに求めはしました。何一つ止まりませんでしたが。
またデータ分析チームは「Google Analyticsを見る限り何一つネガティブなデータはない」として新UIを限定公開から全面展開に踏切り、恐ろしいほどの広告収入の下落に直面したそうですが、いったい彼らはGoogle Analyticsの何を見ていたのか、是非とも知りたいところであります。そのうちピ●シブ insideで報告してくれることを期待しています。
追記:ピ●シブ TECH FES2020で明かされたところではGoogle Analytics無料版とSNSエゴサして「ヨシ!」していたそうです。現場猫かよ。

話が逸れました。
私はエンジニアの中ではビジネス志向、サービス志向が強く「テクニカル志向にあらねばエンジニアではない」という風潮が強まり始めたピクシブはもう居心地の良い場所ではありませんでした。

プロダクトオーナー祭りにおいて、プロダクトマネジメントについての発表をしようとしたところ前日に「それはテッキーな内容ではないから」と自粛を強く求められたこと、そして「業務外の活動」を理由に登壇しベストスピーカー賞をいただいたことで
「自分の志向を認めてくれる会社もこの業界には存在するが、社内ではない」と判断し転職活動を本格化させました。

いろいろあって今の会社に拾っていただき、ビジネス志向、プロダクト志向を生かした仕事ができています。
給与も倍近く上がり、満足しています。

自分の志向と会社の求めるものを擦り合わせることはきっと重要なことなのだと思います。
皆様も良い転職を。