ユーザビリティエンジニアリング(ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法)
Amazon.co.jp: ユーザビリティエンジニアリング(第2版)―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法―: 樽本 徹也: 本
という本を読んだので読書感想文。
ユーザーの期待に関して書いている。
リーンの「ユーザーの期待を理解している人が実装するべき」の概念に合致しているので読んだ。
ユーザビリティ?スタバでしょ?という話ではないので是非読んでほしい。
大事なこと
だいたいこれだけでいい。
ユーザービリティは
誤: 使いやすさ。あればいいけどなくてもいいもの。
正: 効率。ユーザーの投入コストに対するリターンの効率。
ユーザーのリターンとして期待されるものを正確に把握しないといけない。
スタバはユーザーの期待を「オサレな雰囲気と優雅なコーヒータイム」と理解し、それを得られる空間を実装した。
「スタバでドヤリングしオサレな自分に酔う」
というけど、そもそもユーザーが求めているのは「ドヤリングできるオサレなカフェ」
なのだ。
本文中にはないけど、アパホテルの広いベッドと大型テレビと大浴場というのは宿泊客の「ユーザーの期待」を理解した実装だと思った。
同様にセブンイレブンのセブンコーヒーも、「缶コーヒーよりおいしいコーヒーをさっと買いたいが、寄り道などの余計な時間コストは払いたくない。値段も4ドルも払いたくない。オサレな空間も求めていない」
というユーザーに対し、朝や昼にコンビニによったときに提供することで見事にユーザー期待に応え、高いユーザビリティを実現しているように見える。
スタバの成功例として、ユーザビリティの高さは味のよさなどよりユーザーにわかりやすく、差別化しやすく、高いフィーとして現金化しやすいとしている。
ここで注意してほしいのは、ユーザーの期待に対して高効率で応えるサービスを提供することで高いフィーを獲得できるという話であって、
「スタバみたいなオサレなサロン感のあるサービス」
を提供すれば金になるって話ではない。
また、それを期待していないユーザーに対して「オサレなサロン感」
を押し出しても金を取れるわけでもない。ユーザーの期待に沿っていないからだ。
ユーザーの期待をどう理解するか?
数値から読み取る方法とユーザーにインタビューして聞き出す方法を書き、特にユーザーからインタビューする方法について詳しく書いている。
文面の半分程度を割いているが、実際詳しい。
(初学者ならとっかかりとして是非読むべきだと思う。浅く広くよくおさえている。)
総括
ユーザービリティという誤解されがちな言葉を扱っているが、「ユーザービリティ=ユーザーの期待に対する効率」
というのが理解できたので、良い本だったと思う。