瀬宮の球拾いブログ

エンジニアだったはずが、みんなにヘイストかける方がチームに貢献できた男のブログ

コンセプトの明快さと明確さによるコミュニケーションの削減

ダークナイトという映画をご存知だろうか。 名作すぎる名作なので多くはここでは語らない。

作中に二人の悪役が登場する。 一人はジョーカー。 もう一人はトゥーフェイス

この二人を軸に、「明確なコンセプトはコミュニケーションやマネジメント、摩擦を削減する」「不明確なコンセプトは逆にそれらを増加させる」という話をする。

ジョーカー。 彼は極めて明確な人物だ。何をしでかすかわからないが、とにかく人に有害な悪事を行うという一点で常に一貫している。 もし自分が舞台のゴッサムシティの住人でジョーカーを偶然目撃したらどうすればよいか? 対策も極めて明確だ。彼の天敵であるバットマンゴッサムシティ自警団(警察が役に立たないのでそういうのがある)に通報すればいい。 ゴールも同様に明確。ジョーカーがアーカムアサイラムに収容されたらこの事件は解決されたことになる。 注:アーカムアサイラムは精神病院。警察と刑務所が役に立たないので悪党はそこに収容される。

トゥーフェイス。 彼は、作品単位ではともかくシリーズを通しては不明確な人物だ。 成り立ちにも同情の余地があるし、そもそも作品単位で悪役になったり改心して自警団側の脇役ヒーローになったりする。 もし自分が舞台のゴッサムシティの住人でトゥーフェイスを偶然目撃したらどうすればよいか? もし彼が悪役ならバットマンに知らせるべきだが、自警団側の人間かもしれない。どう対策すればいいのかコンテクストを理解しないと行動できないから調べないといけない。 ゴールも不明確だ。アーカムアサイラムに収容される話もあるし、そうじゃない話もある。途中で自警団を抜けるかもしれない。

トゥーフェイスは不明確ゆえに、彼について対策を考えるときは多くのことを考える必要がある。 ジョーカーは「とにかくジョーカーをぶちのめせばOK」とシンプルであるのに大きな違いだ。

私がプロダクトについてコンセプトや背景を明確にするべきと考えているのは上に通ずる。「一貫したコンセプト」に沿って動いているなら「慎重に吟味」しなくても「聞かなくてもわかる、大体こういう感じなんだろ?」で協力なり支援なりあるいは静観なりの対応を決めやすい。 そうでないなら、情報をもらって協議して慎重に検討した上で判断しないといけない。 つまりそれはコストだ。 プロダクトに協力する側にとっても、プロダクト内から協力を求める側にとっても。

コミュニケーションやマネジメントのコストを削減するために、私は明快なコンセプトを、最初にコストをかけても決めるべきだと考える。それは必ず元が取れるからだ。