瀬宮の球拾いブログ

エンジニアだったはずが、みんなにヘイストかける方がチームに貢献できた男のブログ

事業に勝つこと、勝ち続けること、負けること。

勝つこと

1つの事業で成功することはとても難しいと思います。
いわゆる「一発屋」で終わったとしても、その一発すら出せないまま死んでしまうベンチャー企業なんて山ほどあるわけです。私はその一発を出せる企業の創業者を尊敬します。

昔好きだった会社でVRの先駆けとなったARの先駆者セカイカメラを運営する「頓智ドット株式会社」というのがあったんですがいまはセカイカメラをcloseしてtabという後継サービスをリリースし、今は「株式会社オープン・ランウェイズ」に吸収されていました。

ソフトバンクの孫さんや楽天の三木谷さんなどはいろいろ思うところはありますが成功事業をあれだけ複数出している時点で凡百の経営者など及びもつかないところにいると思っています。仮に当人の実力でなかったとしてもそれは番頭さんを御しているということですし、当人の実力であるならば言葉に尽くすことはできません。
成功事業を「1つ」出せる経営者と、「2つ」出せる経営者、「複数」出せる経営者の間にはそれぞれ大きな壁があると思っています。
ミクシィmixiで貯めたキャッシュを使い切る前にソーシャルゲームで一発当てたわけですし、これはこれですごいことだと思います。

ほかにもメルカリはアッテで1発当てれば「2つの事業を当てた会社」の殿堂に乗りますし、当てられなくてもメルカリの事業成功は桁違いなのでそれだけでもすごいことです。
えふしんさんのいるBASEは、BASE以外にもPAY.JPで当ててwいるので私的には「2つの事業を当てた会社」の殿堂に入っています。

いま割と注目しているのは、モバゲーの後、「役員会で事業の良し悪しを判断はできない。いったん市場に出してみてから判断すれば良い」と発言した南場さんです。「私には良し悪しはわからん」「むかし有望事業を望みなしと切って捨てたことがある」と言える大企業の創業者はそうはいない、というかほぼいないので役員会議の前に市場に判断させるという考え方は是非とも注目するところです。

事業に勝つこと

事業的に「勝つ」ことは意外と、人が思うよりは難しくないのかもしれません。自分の事業で勝てなくても、地方に行けば90年代にロードサイドにチェーン店を出店する話にいち早く飛びついたことでいわゆる「名士」になった中小企業オーナーはそれなりの数がいます。彼らはそれなりの儲けを出していますが、正直に言えば経営哲学やビジョンの素晴らしさによって勝てたか?というと私は微妙に思ってます。

事業というものは、いち早くブルーオーシャンと見つけ、オーソリティとなって多数のユーザーを確保すればユーザーがコンテンツを呼び、コンテンツがユーザーを呼ぶ正のサイクルによって成功することができる場合があります。運営の腕の良し悪しなどどうでもよく、ただ人がいることが最大の機能性となります。つまり、業界最多クラスの多数のユーザーがついた時点で勝ちなのです。運営は凡庸でも関係ありません。
しかし、これでは違う事業を始めるときに「ブルーオーシャン」かつ「多数のユーザーがつく」事業を思いつかないと「2つの事業」で成功することはできません。おおむねこのケースではその2つを満たす事業を思いつかず、凡庸な運営は2匹目のドジョウを狙い失敗します。

私はこう考えています。「再現できない勝ち」はまぐれ勝ちです。その勝利を横展開することはできません。
その勝ちはどの前提条件があれば再現できるのか、という再現条件を見つけ出して「再現性のある勝ちパターン」を発見こその本当の「勝ち」なのです。

事業に勝ち続けること

これは極めて難しい問題です。
すなわち、「2つ以上の事業で勝つ」ための勝ちパターンを見つけなければ、つまり「再現性のある勝ちパターン」を見つけ出せなければ上の条件は達成できないからです。
注意しなければいけないのは、「再現性のある勝ちパターン」というのは「こうすれば絶対勝てる」という話ではありません。

毎朝午前5時に起きて、朝食をとり、新聞を読み、お抱えハイヤーで家を出る。会社の隅の神社にたっぷり3分の祈りを捧げ……みたいな日経新聞私の履歴書に載っているような名物経営者の朝の習慣を、他の社長が真似すれば、名物経営者と同様の成功を彼は得られるでしょうか。私は得られないと思います。  

では「再現性のある勝ちパターン」とはなんでしょう。

再現性のある勝ちパターン」はいわゆる「勝利の方程式」のようなものです。
「2点以上リードのある状況」で「7回で先発をセットアッパーに継投」し、「8回からクローザーに継投」すれば100%勝てると思いますか?  100%勝てますか?

ありえません。打たれて負ける日もあるでしょう。同点に追いつかれて延長戦の日もあるでしょう。

ただ、フットボールでいう「サイドからウイングがボールを上げて、パスでゴール前につなぎ、タッチダウン」のような比較的成功率の高い手法。あるいはチームの決め技の一つ、くらいの立ち位置で私は「再現性のある勝ちパターン」を捉えています。
実施して勝てなくても、それは弓馬の常というやつだと。

勝ちパターンは「決め技」のパターンの一つです。それだけでは勝てませんが、貯め続けることで勝ちを確信できるパターンを増やすことができます。それはチームの状況次第ですし、活用できるかは監督次第です。
ただ、勝ちパターンを知れば、監督は勝利への「王道」の引き出しを増やすことができます。
それは実際の勝利において極めて重要な点です

負けること

船の水夫のセオリーにおいてDamage Controlという概念があります。
船の船体に穴があいた場合、水がどんどん流れ込んできます。何もしなければ船は沈没です。でも、隔壁を閉めて浸水量を限定し、あとで穴を塞ぎ排水すれば船は沈みません。そのための浸水量を限定するテクニックです。

順調な時は良いのですが、そうではなくなったときのパターンも覚える必要があります。ダメージを限定し、どこかまずかったのか特定し、そこを直し、最悪の場合撤退や部分的なクローズ、縮退もありえます。精神論には頼れません。マーケットは変わったのです。「神国は不滅で神風が吹く、死守命令だ」ではなく、現実的な判断が必要です。
サッカーにおいても負けが確定してもディフェンスを厚くして得失点差をこれ以上悪化させないというのは戦術としてありえます。

よい負け方のパターンを覚えるというのもチームにおいて重要な点です。